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震災とマクロ経済

政府では、東日本大震災からの復旧・復興に向け、必要な立法や予算についての検討が急ピッチで進められています。
被害の甚大さ、被災自治体・被災者の皆さんの現状を鑑みると、一日も早く具体案をと思うところではありますが、職員の多くも被災者である地元自治体側の態勢を考慮しながら、被災地域の心情をしっかりと受け止めて一歩ずつ丁寧に支援の具体策を固めて行く必要があると感じているところです。

このところのマスコミの報道を見ると、復興予算の財源論をしきりに強調する論調が一部に見られます。
私は今回のような未曾有の危機に際して、「どこかを削って復興支援に回す」といったゼロサムの考え方で予算を組むのは、日本全体の復興や財政の健全化にとってかえってマイナスになるのではないかと心配しています。
東日本大震災の影響は、東北太平洋岸を中心とするインフラやまちへの直接的な被害にとどまらず、首都圏を中心とする電力不足から派生する供給力の減少、福島原発事故の影響も含めた観光業や生産物輸出への影響、また様々な資材の不足による関西圏の企業活動への影響など、日本全体に大きな負の作用を及ぼす可能性があります。
私のみるところ、政府が危機感を持って、適切な政策・財政支出を行わなければ、短期的に日本全体の経済が大きく落ち込むリスクがあると思います。
更に、港湾や航空も含め、アジアの物流の基幹が日本を避けるような事態になれば、中長期的にも日本の経済競争力が大きく削がれることは容易に想像できることです。

いま、個人や企業に自らリスクを取って投資や消費をしてもらうことは極めて難しいでしょう。
既にそれぞれの皆さんが被災地への慈善の思いを持ち、募金やボランティア等も含め、多大な協力をして頂き、また普段の生活・事業活動の不便に我慢をして頂いています。

このような危機に際して、唯一リスクを取って資金を調達し、国土復興や国民生活のために投資を行うことができるのは国家そのものに他なりません。
平時において、無駄を省き、効率的な予算執行を第一に財政運営を行っていくことは大切だと思います。
しかし、今はわが国が戦後体験する最大の国家的な危機であり、その影響は様々な地域・業界に伝播し、マクロ経済全体に波及しつつあります。
目先の補正予算の歳出・歳入の帳尻を合わせることに力を注ぐのではなく、震災復興と経済対策全体を見通した積極的な予算編成をすべきだと私は思っています。