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ギリシャ情勢の混迷

ギリシャ初の世界的な金融危機の危険性が高まりつつあります。
事態はもはやギリシャ一国の債務危機の問題ではなく、EU全体、ひいては世界経済全体を巻き込んでいるのだという現実をしっかり認識する必要があります。

ギリシャ情勢が巡り巡って私たちの生活に直結している出来事として一番わかりやすいのは円高です。
日本の公的債務は欧米諸国と比べても極めて高い水準にあり、また景気も低迷していることを考えると常識的には「なぜ円が買われ、高くなるのか?」不思議な状況とも感じられます。
しかしながら、ギリシャをはじめとして幾つかの国が深刻な債務危機に陥っている欧州の現状、そしてその欧州と金融・経済面で極めて緊密な関係にあり経済も弱含んでいる米国の現状との比較の中で、相対的に安全な通貨として円が買われるという状況が生まれているようです。

円高と言うとわが国ではどうしても、「経済空洞化」が連想され、円高=悪という報道がされがちです。
しかし、多くの資源や商品を輸入しているわが国ですから、円高の恩恵を受けている業界は少なくありません。
もちろん主に国内から海外への輸出に関係している中小・零細企業にとっては、あらがうことの難しい経営環境の悪化であり、これに対する万全の公的な支援が必要なことは言うまでもありません。
しかしながら、20年ほど前から同じような議論が円高局面ごとに繰り返されていることを鑑みると、特にグローバル化した大企業などはもう少し攻めの姿勢を持って欲しいものだと率直に感じざるを得ません。
大企業の中には、内部留保を高め企業内にキャッシュをため込み、低金利で運用している会社が沢山あります。
そういった企業にとっては、円という通貨の価値が相対的に高まっている現在の状況は、海外への投資を進める大きなチャンスであるはずです。
日本の工場や雇用を単純に海外へ移転するような後ろ向きの海外投資は政治の立場として推奨できるものではありませんが、円高という外部環境を活用して企業の更なる成長を意図するような海外投資は、大いに応援すべきだと思います。
わが国初のグローバル企業が世界市場で成長のパイを拡大する中で、日本への再投資も生まれてくるような循環を生みださなければ、わが国経済の縮小均衡は避けられないでしょう。

欧州のリスクの伝播に備えることは大切ですが、リスクはチャンスの裏返しでもあり、この機を戦略的に生かすしたたかさを持つことも重要だと思っています。